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欧米人との価値観の違い

更新日:2021年2月22日

私は20代の頃にファッション関係の仕事についていました。

当時、古着を扱っているショップは少なく、ヴィンテージという言葉もありませんでした。私たちの周りでは今でいうヴィンテージををオールドと呼び、それらはファッションデザイナーやスタイリスト、ショップ関係者など一部の人たちの嗜みのようなモノで、一般の人にはまだあまり馴染みがなかったと思います。


初めて古着に出会ったのは高校生の頃ですが、当時はDCブランド全盛期で雑誌に載っているようなブランドの服は高くてなかなか買えず、そんな時に初めて入った古着屋には、雑誌やブランド服店では見たことがないような独特の雰囲気のある服が所狭しと並んでいて、とてもワクワクしたのを覚えています。


仕事で古着に携わるようになると、ショップの先輩たちは洋服だけでなく、バイクや音楽といったライフスタイルそのものに一貫性があり、そのスタイルに憧れ真似をしたものです。

しばらくして仕事でアメリカへ行くことへなるのですが、そこで目の当たりにしたのは古いモノに対する価値観の違いでした。


その頃の日本ではヴィンテージブーム真っ只中で、一部の古着が高騰し価格も右肩上がりといった状況だったのですが、本場アメリカでは街のそこら中で洋服だけでなく、家具や家電から食器・本・レコードなど、日常生活のありとあらゆるモノの中古が当たり前に流通していました。それらを扱っているお店のスタイルも様々で、お洒落なセレクトショップもあれば、街のリサイクル店もあったり...


当時の日本では一部の人たちのためのマーケットでしかなかった古いモノが、アメリカでは一般の人たちが日常的に利用するモノだったのです。お店以外でも毎週末になると大規模なフリーマーケットから自宅の庭先で個人が勝手にやっているものまで。

お洒落なショップが立ち並ぶ街には、洋服や家具やレコードなどのいろんなジャンルの古いモノを集めたセレクトショップがあり、そのショップ毎のスタイルがどれも個性的でとても魅力的。特に50〜70年代までの家具のセレクトショップなどは、まさにアートギャラリーさながらの様相で、日本では見たことがないスタイルでとても新鮮でした。


それからおよそ30年が経ち、今では日本でもリサイクルショップや古いモノを扱うセレクトショップも増えましたが、一般の人たちが当たり前にそれらを利用しているかとアメリカとは少し違うような気がします。


当時も今も日本人は裕福でアメリカ人は所得が低いかといわれると、そのようなことはなくお金やモノに対する価値観や文化が違うのだと思います。アメリカで知人に日本のファッション誌を見せたとき、そこに載っている商品の値段を聞いて、とても驚いていたのをよく覚えています。数万円ブーツの記事を見て、『お前たちはこんな高いモノを買っているのか?クレイジーだ!』と。多分、そのアメリカ人と私の収入はさほど変わらなかったと思いますが、日本には「欲しいモノは多少無理してでも頑張って買う」という価値観があるのに対して、アメリカでは「分不相応なモノは始めから必要ない」といった感じでした。


私は今は住宅に関わる仕事をしていますが、30代くらいの人たちが数千万円の借金をして住宅を購入しているのを日々目の当たりにしています。そのことを否定するわけではありませんが、中には無理して購入した結果、せっかく手に入れたマイホームを手放すことになった方もいらっしゃいます。日本はまだまだ新品が良しとされる価値観が主流です。しかし、そのことに囚われていると、本来の身の丈にあった生活とはかけ離れた生活をしなければならなくなります。


日本では仕事優先で残業するのは当たり前だったりするのに対して、アメリカでは定時に帰るのが当たり前で、仕事の後のプライベートも大切にしているといった価値観。人間らしい文化的な生活を営み、人生を謳歌しているのは果たしてどちらでしょうか。


多分、その時のアメリカの知人に日本の住宅事情を説明すると、きっとまた『クレイジーだ!』と驚かれるかも知れませんね。



ハーマンミラー

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