中古マンションの選び方
- 1 日前
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マンションリノベーション用の中古マンション探しを始めて約1年。なかなか希望の条件にある物件が見つからず、少し諦めかけていた頃に、希望条件にぴったりの市内でも有数の好立地にある築28年の分譲マンションが見つかりました。3LDKで約70㎡とそれほど広くはありませんが、かえってコストが抑えられるし、都心部へのアクセスも良く、上層階で南向きという希少な物件に出会えたのは、途中で諦めずに待った甲斐があったというものです。
今回、物件を選ぶ上で特にこだわったポイントは、築古でも資産価値のあるマンションという点です。資産価値のあるマンションとは、購入した後でも適正な価格もしくは、それ以上で売却可能な物件という意味です。
新築で購入したマンションは、新築相場と揶揄されるほど割高です。よほど人気の物件以外は購入価格を上回ることはありませんし、購入後すぐに数百万〜数千万円の価値が無くなります。中古マンションの場合は、すでにその分が下がっているので、そこまで大きく値下がりすることはありませんが、実際に売却するとなるとそう単純にはいきません。近隣マンションに同じような物件があれば、それより安くないと売れないので、相場より安い価格にならざるをえず、結果的にそれらの物件価格は年々下落していきます。そのようなマンションは資産性が低いということがいえるでしょう。
具体的にどういう物件の資産性が低いかというと、同じような間取り、同じ仕様、大量供給された物件です。いわゆる、大衆向けに建てられたマンションで、さらに都心部から離れた郊外のマンションは土地を安価で入手できる分、価格を抑えることができますが、いざ売却となると買い手がなかなか見つからないことも多々あります。
マンションには大きく分けると2種類のタイプがあり、一つは大衆向け、もう一つは富裕層向けとなります。大衆向けマンションは元々供給量が多く、同じような間取りや仕様になっているので、購入の際はリーズナブルで良いのですが、いざ売却時は同じようなマンションはいくらでも見つかります。
富裕層向けマンションはどうかというと、元々の絶対数が少ない上に、中古といえどもそれなりの価格はしますので、購入者も限られます。それでも、富裕層向けマンションも当然ながら新築時よりも価格は下がりますし、購入希望者は少ないので、資産性の高い物件をお得に購入できる可能性は高いともいえるでしょう。
そこで資産性の高いマンションとはどういうものか、日本のマンションの歴史を振り返ってみたいと思います。
日本で最初の分譲マンションは、1953年に東京で建てられた「宮益坂ビルディング」です。東京都が11階建ての店舗兼住居の複合型マンションとして分譲。当時は住宅ローンというものがなかったため、平均年収が約20万円という時代に分譲価格100万円のマンションは、主に富裕層に向けたものでした。
1964年には東京オリンピックをきっかけに、今度は民間企業が富裕層向けの高級分譲マンションを供給開始。この頃の代表的なマンションといえば、現在も原宿駅前にある「コープオリンピア」。1964年に分譲時の価格は最高1億円で販売され、日本初めての億ションとしても有名です。
1960年代後半になると、一般の人々でも購入できるよう、銀行の住宅ローンがマンションにも適用されるようになり、その住宅ローンが適用となった日本初のマンションとして、1967年に秀和外苑前レジデンスが建築。この頃からマンションの分譲価格も下がり始め、マンションが大衆化していきます。その後、住宅金融公庫の融資制度が始まると、「公庫融資付き分譲マンション」として供給されるようになり、全国で分譲マンションブームが起こります。
1980年代の後半頃になるとバブル経済の影響で、都心では10億円を超えるような超高級物件が供給。マンションも個性や質の高さを追求するようになっていき、タイル張りの外壁や豪華な共用施設、オートロック、広いロビーなどもこの時代のマンションの特徴の一つ。バブル期ゆえにグレードの高い建材を多用したものから、公開したそばから売れるため施工スピードを優先するものなど、さまざまな品質のストックが混在しています。この頃に建設されたのが、日本のヴィンテージマンションの代表格ともいえる東京都渋谷区にある「広尾ガーデンヒルズ」です。
1990年代前半は、バブル崩壊による景気低迷によりマンションの価格が下がりはじめます。バブル崩壊でマンションの建築自体も激減し、販売価格を下げるために専有面積を減らした物件が登場します。1995年には阪神・淡路大震災によって、構造や基本性能に対する関心が高まり、制振構造、免震構造などの新技術が発達していきます。
1990年代後半マンションブームが再来した時期で、品質も大きく改良されます。床(屋根)スラブの標準が約15cmから18cmと厚くなり、床仕上げは「直張り」から「二重床」になるなど遮音性能もアップ。価格を抑えるため、専有面積を広げず、室内の有効面積を増やすため「アウトフレーム工法」を採用されるようになります。さらに「逆梁ハイサッシ」で採光をより良くして開放感を増加させるなど、空間的な質も向上していきます。オートロックや宅配ボックスといった、現在では当たり前の設備も主流となりました。バブル崩壊からようやく立ち直りかけ、当時の建築コストの安さが生んだ高品質なつくり。外壁タイル、二重床・二重天井、ゆとりある共用空間など、現在の新築では採用しづらい仕様が多く見られます。
2000年代になると、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」いわゆる「品確法」が2000年からスタートし、住宅性能表示制度によって第三者が物件を検査・評価する時代に入りました。欠陥住宅に対するトラブル防止が強化された時代です。2003年には、建築基準法の改正によって換気設備の設置が義務付けられ、24時間換気や浴室乾燥機も普及。和室を設けない「オールフローリング」が一般的となります。歴史的な円高もあって建材も安く、非常に高品質なマンションが建てられました。建築原価も非常に安い時期だったことに加え、良い場所でマンション用地が入手できる時代でした。立地も良く品質の高いマンションが建設された時期と言えます。
2008年に起こったリーマンショックによって世界的な不況に入ります。リーマンショック以降、新築マンション供給戸数は大量供給時代の約半分になり、マンション業界の供給スタンスが「数から質へ」変化。建築費高騰や人手不足、用地取得難を背景に、都心部や好立地を中心とした高価格・高品質な物件(タワーマンションやブランド物件)へシフトし、大量供給時代は終わります。
現在の新築マンションは、土地価格の高騰に合わせて付帯設備を簡素化したり、部材のグレードを下げる、間取りをシンプルにするなど、コストカットにより販売価格を抑えているケースが多く見られます。今後も建築費が下がる見込みは乏しく、土地の供給も限られている以上、新築価格は高止まりが続くと見られます。
このようにマンションの歴史を辿ると、時代によって建物のグレードや立地、価格など、それぞれ特徴があります。古くなった内装はリノベーションで入れ替えることはできても、立地や建物の質、日当たり、眺望といった替えられない部分は、新しい古いに関わらずマンション選びで最もこだわるべきポイントで、これらの要素がマンションの資産価値を左右しているともいえるでしょう。
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