人は元来、他の動物と同じように自然の中で生活をしてきました。しかし、文明の発達と共にどんどん自然から離れ、人工的に作られた都市で生活をするようになりました。
便利で快適な都市生活ではありますが、自然からかけ離れた生活の中で私たちは気付かないうちに沢山のストレスを抱えて生活をしているようです。
人はストレス状態にあると免疫機能が低下することが分かっています。昔の人と比べて様々なアレルギーや病気が多いのもそのようなことが原因の一つなのかも知れません。
ある研究によれば、森林と都市のそれぞれの環境で人の副交感神経やストレスホルモンなどを測定した実験を行った結果、森林を歩いた後はストレスホルモンが低下し、リラックス状態をもたらす副交感神経が高まることが分かりました。また、森林を歩くことで高血圧の人は血圧が低下し、低血圧の人は血圧が上昇するといった調整効果も見られたそうです。反対に都市での実験ではそのような効果は見られなかったそうです。
また『Neture』に掲載された有名な論文では、都市と田舎に住む学生に感情やストレスに関する脳領域を測定。都市部の学生は激しい反応を示し、田舎の学生の反応は穏やかだったとのこと。また、それらは子供の頃の都市在住期間とも関係していたといったデータもあるほどです。
このように「自然の心地よさ」が人に及ぼす影響は想像以上に大きいのですが、私たちの普段の生活の中でも夜の時間の過ごし方は特に重要です。
人は本来、朝日と共に起きて、日が沈むと共に眠るというバイオリズムを持っています。文明の発達と共に暗くなっても電気を使い、昼間と同じ環境を作り出し、暗くなっても仕事や勉強をしたりしていますが、そのような当たり前だと思っている生活スタイルこそが慢性的なストレスを抱える原因にもなっているのかも知れません。
人は睡眠中に日中の活動で痛んだ細胞を修復するための成長ホルモンが多く分泌されます。睡眠不足になると成長ホルモンも十分に分泌されず、免疫細胞の減少に繋がり免疫力が低下してしまいます。
また、人には自律神経やホルモンの分泌を制御して身体を良好に保つ体内時計がありますが、不規則な生活をしていると体内時計が乱れ、これも免疫力の低下に繋がります。
朝の太陽の光を浴びると、心のバランスを整えるホルモンの「セロトニン」が分泌されます。セロトニンは夜になると睡眠を促進するホルモンの「メラトニン」に変わり、質の良い睡眠にも繋がるそうで、ブルーライトのような青白い光は脳を覚醒させて眠りを妨げてしまう効果があるそうです。
欧米の人たちは夜に自宅で過ごす時には蝋燭や暖炉のような色温度が低い白熱電球の灯りを好みます。彼らにとって、家は一日の疲れを癒す場所であり、家族と共にリラックスした時間を過ごす場所です。だから家に帰ってまで職場のような蛍光灯の白い灯りでは安らげないといいます。
当たり前ですが、夜は暗いのが自然なのです。そう考えると夜には夜に相応しい明るさがあるでしょうし、それに合わせた暮らし方もあって良いのだと思います。
私には欧米人が穏やかで人に優しく、日本人は怒りっぽく他人に無関心といった印象がありますが、実は国民性や性格的なものというよりも、もしかすると先に述べたような生活習慣におけるストレスが関係しているのかも知れません。
最近の日本の住まいはとても快適ですが、エアコンで年中一定の温度が保たれ、外の様子を気にすることなく生活できるように壁や塀に囲まれた建物や夜でも明々とした照明に照らされる室内は、昔よりも様々な変化を感じ難くなっているようにも思います。
そのような暮らしは確かに便利で快適かも知れませんが、冒頭に述べたような人が本来暮らす環境からは随分とかけ離れているようにも思います。近年のキャンプやアウトドアの流行はそのような現代社会への反動のようにも感じるのです。
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