• Yuichiro Noguchi

照明と経済の密接な関係

「昼間と変わらない明るい空間で暮らす。」

多くの日本人が求めてきた豊かな暮らしの象徴するものの一つが照明です。


照明の歴史は古くはオイルランプや蝋燭に始まります。それから1810年代になると石油ランプやガス灯、そして1879年にはエジソンによって白熱電球が発明されます。現在主流のシーリングライトで使われている蛍光灯は1940年頃の誕生です。


最も太古の灯りといえば焚き火になるのかと思います。

平安時代になると「灯台」といった小さな皿に油を満たし台座にのせて火を灯すようになり、江戸時代には、火を灯した皿のまわりに紙を張って風よけにした「行灯」が広まります。


但し、江戸時代の家庭では囲炉裏の灯りが一般的で、1900年頃までは暗くなったら寝るのが当たり前、灯りは裕福な家庭の贅沢品だったとのこと。


その後、徐々に白熱電球が普及していくのですが、それでも電球は家庭に一つあれば良いといった程度で、廊下やトイレにまで照明がつくようになったのは1950年代以降になってからだそうです。


その後、高度経済成長とともに蛍光灯が普及していくことになるのですが、まさに電気の発達や普及にともない、照明のあり方も変化していっているのがわかると思います。


その変化に合わせて照明の色温度も変わっていきます。

蝋燭の色温度は1800K(ケルビン)、白熱電球は2800K、蛍光灯は5000K。ちなみに朝日や夕焼けの色温度は2000K、日中の太陽光は5000〜6500Kです。

住まいの灯りは経済発展とともに、より明るくより白く昼間の光に近づいていったことがわかります。多くの家庭では大きなシーリングライトが部屋の中央に配置され、昼間と変わらない明るさで空間全体を照らしているはずです。


これまでの歴史を振り返ると夜でも昼間と変わらない明るさを手にすることは、まさに豊かさを手にしていることと同じ意味だったはず。

しかし、最近の住宅ではそれまでの蛍光灯の白い色から電球色へ戻りつつあります。また、少し前に多くの家庭で姿を消したペンダントライトを求める人も増えてきています。


このことは、かつての「明るければ明るいほど豊かである」といった価値観が変化していることを表れではないかと思います。


日本は90年代をピークに経済成長は停滞しています。

しかし、いわゆる失われた20年の間もコンビニの市場規模は右肩上がりに成長し続け、コンビニの照明はLED化に伴って蛍光灯以上の明るさを手に入れました。日中でも空に少しでも雲がかかるとコンビニの中の方が明るいほどです。


一方で家庭の照明にはそれとは違った変化が現れ始めています。

それまで「明るければ明るいほどに良い」と考えられてきた照明も、色温度が蛍光灯の白い光から再び暖かみを帯びた電球色へと徐々に移りつつあります。また、かつては姿を消したはずの裸電球やペンダントライトといった照明器具が再び求められるようになったのです。


経済成長が鈍化し、所得格差が広がりつつある中で、家庭の所得も右肩上がりではなくなりつつあります。

それでもそれまでのライフスタイルを守ろうと夫婦共働きはもとより、過度な残業や副業をしたりして、少し無理をしているところがあるのかも知れません。


それでも日本の社会はかつてないほどに裕福だと思います。お金さえあれば何でも手に入るといっても過言ではないのかもしれません。


しかし、そのようなかつて夢に見た社会が現実となったからこそ、必ずしも便利さや物質的な豊かさがイコール幸せでないのかもと気付き始めている人もいるのではないでしょうか。そして、そのことが住まいの照明の変化に現れているのだとしたら、その行き先はとても興味深いものだと思います。


 

『居心地のよい灯りと暮らす』


灯りはただ空間を明るく照らすだけでなく、美しい灯りは日常にワンランク上の心地よさをつくりだしてくれます。私たちは照明から考えるインテリアで心地よい灯りのある上質な暮らしをお届けします。


IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors

熊本県熊本市北区武蔵ヶ丘1-15-16


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