内装にお金をかけない店は大体同じ
初めてお店を作る場合、最初から十分な予算を確保して始める人は稀で、なるだけ少ない予算、できれば借金をせずに始めたいと思うもの。結果、以下のような特定のデザインスタイルになりがち。
①コンクリート打ちっぱなし:RC造の建物で、躯体であるコンクリートを剥き出しにする方法。おしゃれに見える割に、簡単で低コスト。但し、物件価格は高め。
②モルタル仕上げ:白いペンキ仕上げのかわりに、モルタルを塗る方法。モルタルの材料や施工費は塗装よりも高くなるが、建物の構造は問わないのでコンクリート打ちっぱなしの場合よりも物件価格が抑えられた上、似たような雰囲気の内装にすることができる。
③合板仕上げ:本来は建築工事の下地材である合板をそのまま仕上げとして壁や天井に使う方法。仕上げをしない分安価。所謂、木造や鉄骨造版の「コンクリート打ちっぱなし風」といった感じで、おしゃれに見える割に、低コストのため、近年で最も流行している。
③白いペンキ仕上げ:衣料品店や美容室に多いスタイル、内装を真っ白など、単色のペンキで塗りつぶす方法。多少の手間はかかるが、自分でできるので安価。古い木造や鉄骨造でもどんな建物でも可能なので、物件価格と内装費の両方を抑えられる。但し、ハンドクラフト感が強めなので、前述のような業種に限定される。
④ビニルクロス・シート貼り:最も一般的な内装で、木目調やモルタル調、シンプルモダンなど、低コストで簡単に好みのスタイルを表現できる反面、ほとんどのチェーン店で採用されているため、内装の差別化が難しく、素材のフェイク感も否めない。
また、いずれの場合も天井はスケルトンで、空調設備や給排水管、電線も露出、床はモルタル仕上げや、床を剥いだままクリア塗装など、仕上げを省くのが定番である。
最低限必要な工事は、軽鉄・ボード工事、電気設備工事、給排水・ガス工事、空調・換気工事などが挙げられるが、予算が少なければ、これらのコスト割合が高くなるが、仕上がった後は人の目に触れないものばかりなので、実はここのコストを削って、目に見える部分へ予算を回すのが正解。ここを削らずに残った予算で内装の仕上げや家具、什器などを揃えようとすると、既製品や定番什器の使い回しや、通販サイトや大手量販店で揃えることになり、それによって皆と同じになる。
内装にお金をかけない店が、驚くほど似たような見た目や雰囲気になるのは単なる偶然ではなく、低コストで店を作ろうとすると、選択肢が絞られるため、その中で店を作った結果が、「大体同じ」になってしまうのだ。
内装はあくまで見た目の話と思われがちだが、店の内装は、購買行動・滞在時間・リピート率に直結する要素。同じような店でも「こっちの方が美味しそう」、「居心地が良さそう」といった印象は、店の内装やブランドイメージからも影響を受けており、デザインが人の感情や行動に与える影響は、心理学や行動経済学の観点からも広く認識されている。
時々、内装工事屋さんが「内装にお金をかけても繁盛店にはならない」とか、「内装にお金をかけるのは無駄」みたいなことをいっているのを見受けられるが、「拘った内装の店=魅力的な店」であることは多い。素敵な内装の店は簡単には作れないし、誰でも簡単に出来るものでもない。それにはそれなりの努力や苦労が必要だからだ。そうやって、愛情込めて作られた店は、オーナーは始め、それが出来るまでに関わった人たちの自信やプライドも育み、簡単に手放せないからこそ、長く大切にされるというもの。
お金をかけずに「他で流行っている店を作る(真似をする)」ことは簡単だが、一定数を超えた(需要に対して供給が多くなる)時点から、集客ができなくなり、リピート客が少ない店から潰れていく。つまり、同じような内装の店を作るということは、差別化できず、価格競争に陥りがちで、利益が削られ、長続きしないことになるのだ。

IN THE LIGHT
1-15-16 Musashigaoka, Kita-ku,
Kumamoto-city, Kumamoto 861-8001 Japan



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