「お金を払って何かを手に入れる」当たり前のことだが、最近では何を持っているかよりも、どうやって手に入れたかの方が大切な気がする。今ではスマホ一つあれば、世界中のありとあらゆるモノを手に入れることができる。お金さえあれば誰でも何でも買えるのだ。とても便利な世の中になったものの、簡単に何でも手に入るだけにモノ自体の価値は下がっているように思う。
お金さえあれば誰でも買えるモノにどれ程の価値があるといえるのだろう。希少価値があって入手困難なモノでも、それ自体の本当の価値はどうなのだろう。そう考えると私たちの周りにはたくさんのモノが溢れていて、何かと比較することでしか価値を見出せないのだとしたら、本来は不要なものに大枚を叩いて手に入れているに過ぎないのではないか。
お気に入りのショップへ行き、お店の人と何気ない会話をしながらモノを選ぶのも楽しみの一つ。自分だけで選んで買うよりも、店員さんのオススメの方が新しい自分を見つけ出してくれる場合もある。もちろん、何かを買うために行くのだが、気に入ったモノがなくとも足を運ぶ価値があると感じさせてくれるショップの存在は貴重だ。そのようなお店は単にモノを売っているだけでなく、モノを通じて価値のある有意義な時間を過ごさせてくれる。私たちはそのようなひと時のためにわざわざそこまで足を運ぶのだ。
苦労もせずに手に入れたものにはモノと一緒にその時間まで記憶から消えていく。反対に苦労して手に入れたモノは生涯記憶に残るだろう。「昔は良かった」という人の多くは、そんな思い出を積み重ねたから出てくる言葉なのだろう。
モノがない時代はもっと豊かなになりたいという気持ちがモノづくりにも反映され、心から欲しいと思うものを作ってきた。そのようにして生まれたモノには、それまでの紆余曲折の物語があり、それが人の心を豊かにしてくれたものだ。しかし、豊かな暮らしが実現した今は単にお金を得るためにモノを作っている。心がないモノからは一時の満足感は得られても、すぐに飽きてまた違うものが欲しくなるのだ。
考えてみれば、私たちはお金を得るためにどれだけの時間を費やしているのだろう。それだけの時間を費やして得たお金で一体何を得たというのか。
良くも悪くも心に残るような体験は、時が過ぎてもはっきりと覚えている。歳を経て、その時を思い出すようなことがいくつあるだろう。豊かな人生とは、まさにそのような古き良き思い出を沢山重ねることに他ならないのではないだろうか。
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