• Yuichiro Noguchi

見たいものに光りをあてる

更新日:2021年5月30日

住宅によく使われているダウンライトの多くは、空間全体をなんとなく照らしているだけで、特に何かに光を届けているわけではありません。


そのような空間は、何もない通路の床に光があたっていたり、何もない壁に光が当たっていたりして、案外、必要な場所に光がなかったりしているものです。


目的のない灯りは空間をなんとなく明るくはしてくれるものの、天井を見上げるとまばゆい光が目に刺さり、下を向くと自分の手元には影を落としていたりします。


逆に不必要な明かりは余計な影を生み出し、その影を打ち消すためにもっと明かりが必要だと考え、ますます目的のない余計な明かりが増えていくのです。



煌々とした明かりの美術館で見る絵画と、ほの暗い美術館の中でスポットライトに照らされた絵画では、どちらが印象的かを考えると空間における照明の役割は、思っている以上に大きいものなのです。


私たちが普段から何気なく使っている電気(照明)も、その在り方自体を見直すことによって、日々の暮らしの印象が一変することにもなります。


光を見たいものにあてることで、そこへ視線をフォーカスさせてくれますし、それと同時に空間の余計なノイズを消すこともできます。


余計なノイズが少なければ少ないほどに、より見たいものだけに意識が集中します。


すると今まで見えていなかった細かなディテールが浮かび上がり、それが新たな気づきや好奇心の元になったりするものです。


また、夜には夜ならではの灯りの使い方や空間の愉しみ方があります。

夕刻になるとオレンジ色に包まれ、温かみとどこか哀愁漂うブルーアワー、そして月夜に照らされたほの暗い中にある優しく温かみのある灯り。


昼間のオープンテラスで過ごすランチも気持ちよいと思いますが、蝋燭の灯りのもとで味わうディナーは、あなたにきっと特別な時間を過ごさせてくれることでしょう。


人は蝋燭の灯りしかなければ、その仄かな灯りでも案外なんとかなるもの。


そこはかとない心地よさや情景は、案外そのようなところで生まれるものなのです。


現代の私たちは日々大量の情報を浴び続ける生活を送っています。

テクノロジーは私たちにこれまでにない便利を与えてくれていますが、果たしてそれによってより大きな幸せを手に入れたといえるのでしょうか。


便利で都会的な生活から少し距離を置いて、自然に身を委ね、僅かに文明の力をかりて過ごすささやかな暮らしは、人が持つ本来の感受性を高め、ちょっとしたことでも感動を覚えるような心の豊かさをもたらしてくれます。


見たいものに光りをあて、余計なノイズを消してくれる夜の灯りは、「人が追求するべき幸福とは何か」という物事の本質を教えてくれるのではないでしょうか。



 

『灯りを愉しむ』美しく、心地のよい暮らし


私たちは『灯りを愉しむ』をコンセプトにした空間デザインによって、日々の生活の中に温かみや幸福感をもたらすような、美しく、心地よい灯りのある暮らしを届けしたいと思っています。


《IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors》

〒861-8001 熊本県熊本市北区武蔵ヶ丘1-15-16

https://www.inthelightinteriors.com/











閲覧数:105回

最新記事

すべて表示

陰翳礼讃