• Yuichiro Noguchi

クオリティ・オブ・ライツ

更新日:11月20日

クオリティ・オブ・ライフ(: quality of life、略称: QOL)とは、一人一人の人生の内容の質や社会的にみた『生活の質』のことを指し、ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。ウィキペディアより抜粋


これを文字って、住まいにおける『照明の質』をクオリティ・オブ・ライツ(Quality of lights、QOL)と名付けたい。

住まいの光環境が人に与える影響がどれほど大きなものなのか。世界の幸福度ランキング上位は照明先進国である北欧諸国が占めています。このことがそのまま照明のおかげであるとは思いませんが、全く関係がないとも言えないのかも知れません。


今回は日常生活における光環境について考えてみたいと思います。私たち人は朝日を浴びて脳が活性化し、夕方から夜にかけて徐々に脳と体を休ませるといったサーカディアンリズムというものを持っています。しかしながら、現代人の生活サイクルは人工的な光によって昼夜に関わらず活動でき、そのことによる生産性の向上といった恩恵を享受しています。


反面、私たちの脳や体はどうでしょう。本来ならば夕方になれば自宅へ帰って夕食を摂り、その後は家族とゆっくりとした時間を過ごしながら、徐々に就寝モードへ入っていくのが自然な生活サイクルです。しかし、実際には自宅へ帰ってからも勉強や仕事にゲームにスマホなど、昼間と同じ刺激を得ようとしている人は少なくないのかも知れません。


本来、家庭において優先されるべきは、居心地の良さや快適性といった疲れた体や脳を休め、家族との絆を深め合うような場所。しかし、実際には職場同様に効率性や生産性が優先されることも少なくなく、日本の住宅において、居心地のよさは決して上位ではないようにも感じます。


特に照明に関しては明るさ至上主義が大勢を占めており、暗いよりは明るい方が良いといった単純な発想で作られたプランが多く、真っ白な蛍光灯を使ったシーリングライトの昼間と同様の明るい室内から未だに脱却出来ないでいる現状には、80年代に流行った『24時間、働けますか?』のキャッチフレーズ並みに家事に仕事に勉強にと、家でも職場並みの効率性や生産性を求める日本人の姿が如実に現れているように思います。


そのような環境下で長期間暮らすということは、日常的に脳や体に過度なストレスを与え続けることになり、長い目で見た場合は、病気や精神疾患など様々な問題を引き起こす要因にもなりかねません。


現代社会における様々なストレスの原因が住環境そのものにあるとしたならば、その早急な改善は必須でしょう。そのためにはまずは常にもっと便利で豊かな生活を求めるのでなく、もっと人間らしく暮らせる環境づくりへシフトするべきでしょう。


中でも日本の住宅の光環境は欧米、特に照明先進国と言われる北欧のそれと比べると真逆といっても過言ではありません。


狭小地の多い日本の一戸建てでは、防犯上の問題も兼ねて窓の小さなお家が少なくありません。外観上のデザイン的理由もそうですが、外から見たら窓一つない家も最近の流行りのスタイルの一つです。


窓が小さいということは、昼間でも室内では照明を使う必要があるということになります。人は昼間は太陽光のような強い光の刺激によって脳や体が活性化し、昼間は活発に活動するのです。オフィスや工場、様々なショップでは、昼間は外と変わらない明るい光環境で精力的な活動をサポートします。反対に昼間でも落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しめるようなお店の照度は案外低く、それにより味覚や嗅覚がより敏感になるようにしていたりもするのです。このような例からも昼間だから明るくとか、夜だから暗くというほど単純ではないことも分かります。その場所で何をするかによって、時間帯なども考慮しながら適切な照明計画を立てることの重要性は、これまでの単に明るい方が良いといった日本の照明文化に大きな影響を与えるでしょう。


私たちが行なっている住宅における照明デザイン(=照明計画)とは、まさにその環境を整えることに他なりません。単なるお洒落な空間づくりのための照明ではなく、人の本来持つ自然なサーカディアンリズムを整えるために必要な要素を考慮しつつ、適光適所かつフレキシブルに対応出来ることを前提とした照明デザインを心掛けています。


但し、現実的になかなか難しいのは、建築業界のスキームの中で照明プランが入るのは、建物自体の基本設計が出来上がった後になるという点です。建築家が設計した建物は既にある程度、その建築家の中では建物の外観や内観のおおよそのイメージは出来上がっています。中には照明の基本的なイメージも含まれている場合も少なくはないでしょう。こだわりの強い建築家であれば尚更です。


そのことが私の行うような照明デザインにとっては、大きな足枷となります。また、全体予算のコントロールも同様です。一般的には契約時の概算金額の中には、一般的な予算組みしかされていません。実際にはある程度の打ち合わせ等を進めていく中で最終的に決まっていくのですが、現在の照明に割り当てられる一般的な予算とは、国内照明メーカーが無償で行っている照明計画と自社の器具の中から選定し、建築家から出された予算の中で行われたもの。建築家は照明のプロではありませんので、デザイン的な部分や納まりはこだわったとしても、先に述べたような専門的な知識を持ち合わせた人はまだまだいないのではないでしょうか。


人の体に大きな影響を与える光。そのことの重要性を解き、日本の住宅を本来あるべき姿へ導くことが私たちの使命だと思っております。




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