• Yuichiro Noguchi

ライティングは色で決まる

更新日:11月20日

 日本のように夜でも明々とした室内が当たり前の日常を過ごしていると、光の色よりも「明るい」「暗い」といったことや照明器具のデザインにしか意識が行かないのは仕方がないようにも思います。


 人も本来は他の動物と同じように朝の太陽の光を浴びて活動を始め、暗くなると寝床に着くというのが自然です。陽が落ちてからも太陽光と同じ光環境を作り出し生活するのは日常的にストレスを与えているようなもの。夜には夜に相応しい光環境を整えることは想像以上に大切なことなのです。


 昼間と変わり映えのしない蛍光灯の明々とした室内よりも、一日の変化を夕暮れと共に感じることができる暖系色の灯りの方が日常を豊かにしてくれるようにも思います。


 1970年代以降、日本の多くの家庭で蛍光灯が一般的になり、昼間と変わらない明々とした生活に慣れてしまった私たちは暖系色の灯りを薄暗いと感じるのも事実です。


 しかし、欧米の人たちにとって日本の明々とした室内での暮らしは違和感があるようで、会社や工場で使われる蛍光灯の明々とした白い光を見ると、家に帰ってまで職場の延長のような雰囲気では落ち着かないといいます。

 「家では家族とリラックスした時間を過ごすもの」、そのように考えると蛍光灯のような明々とした白い光よりも、電球や蝋燭、暖炉といった「より自然に近い灯り」の方が夜の暮らしには相応しいのだと思えるはずです。


 住宅において蛍光灯のシーリングライトからLEDダウンライトへ変わっていく過程で、電球色(2700K)のダウンライトに薄暗さを感じる人が多く、LEDならではの温白色(3000K)や調色機能(5000→2700K)がついたシーリングライトやダウンライトが広がりつつあります。

 相変わらず明々とした白い光環境に戻そうする照明メーカーの製品や照明プランを見ると少し残念な気がします。

 もちろんそのようなユーザーの声を反映しての結果であるのですが、売れる売れない以上に、もっと人々の暮らしを豊かにするといった理念や哲学を掲げて啓蒙活動に勤しむべきではないかとも思います。


 「ライティング・デザイン」とは照明によって場の雰囲気を作り出すことが重要で、単に空間を光で埋め尽くして明るくするだけであれば照度分布図を使えば良いだけです。コンピューターを使って作り出された空間には不自由を感じることなく、平均点の光環境を整えることはできると思いますが、人に感動を与えたり、感性を刺激するような空間を生み出すことは難しいでしょう。


 同じ室内でも「蛍光灯の白い光」と「電球の暖系色の光」が人に与える印象が全く違うように、「ライティング・デザイナー」の感性によって空間の印象も全く変わるのです。


 昼間の太陽光は5,000〜10,000K(ケルビン)といわれ、朝日や夕日は2,000〜3,000K、蝋燭や焚き火は2,000K以下といわれています。照明器具の色温度は2,700〜5,000Kが一般的です。


 最近の住宅ではキッチンや洗面所などでは5,000K、リビングや居室は3,000〜5,000K、廊下などが2,700Kといったプランが多く、所作に合わせて色温度を変えていることが分かります。LDKではリビング・ダイニング・キッチンでそれぞれに違う色温度が混在しているケースも多々ありますが、全てと点灯した状態では色が混じっていて違和感を感じることが相応にしてあります。


 どれが正解で不正解ということはありませんし、それはライティング・デザイナーやインテリア・コーディネーターの感性によるものです。


 個人的には部屋ごとで色温度が違っていたり、所作によって変えたり、時間帯で変化したりするのは混乱するのは好きではありません。やはり夜の時間はいうまでもなく、昼間であっても雨の薄暗い日や明け方など、家の中では温かみのある柔らかな灯りのもとで暮らすのが心地よいと感じます。


 まだ陽が上る前の時間帯でも色温度の低い温かみのある柔らかな仄かな灯りは心を穏やかにしてくれ、徐々に目覚めていく自然な感じは本当に心地よいものです。一方で、雨の日の憂鬱な気分も暖系色の灯りに包まれるとそれもまた味わい深い一日となるのです。


 人は環境によって大きな影響を受けるもの。光は単に周囲を明るく照らすだけでなく、優れたライティングは人の感性に訴え、気分でさえも変えてくれます。

 人工的な照明を使ったキャンプは便利かも知れませんが、焚き火だけの方が何倍も印象深く、その体験は一生の思い出にもなり得るでしょう。


 そのような素敵な灯りのある暮らしは、私たちの何気ない日常を心地よくしてくれるだけでなく、人生そのものをもっと豊かにしてくれるのではないでしょうか。



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