以前、「ファッションとインテリアの密接な関係」でも書いたように嗜好性がとても似通っているにも関わらず、外見と内面の違い差ながらに何かと疎かにされやすいインテリアですが、スタイリングやコーディネートにも共通する部分が沢山あります。
ファッションでは冬になると黒一色のモノトーンコーデがとても多くなります。全部同じ色で合わせることは簡単ですが、同じモノトーンコーデでもお洒落な人は同色でもそれぞれの素材を変えることでメインの服が引き立つようなコーディネートを意識します。
例えば黒いレザージャケットをメインにした場合は、インナーやボトムにはウールのようなマットな質感の光沢のない黒を選びます。そうすることによってレザーの持つ光沢や質感が際立つのです。もちろん靴も光沢のないスエードのような素材のものを選ぶことが大切です。但し、靴を同じ表革のレザーを選んでしまうと前述と同様にレザージャケットの質感を打ち消してしまうことになります。
インテリアでもよく見かけるのは床と家具の素材や色を揃えるコーディネートです。
真っ白な空間に温かみのある無垢の床材は木の自然な質感が強調されてとても素敵です。
しかし、そこに同じ無垢材のダイニングテーブルや椅子を合わせると前述のファッションコーデと同じように、フォーカルポイントとなるはずの無垢材同士が打ち消しあってしまいます。
色合わせのコーディネートで時々見かけるのが、インナーと靴下の色を合わせたりするような色合わせがあります。例えば、黒いセットアップに明るい色のニットなどを合わせる着こなしは重くなりがちな黒のセットアップに明るい色を合わせることで、落ち着いた中に華やかさがある印象になります。但し、差し色は1箇所に限ります。差し色と同色のものを他のアイテムでも使ったりするとせっかくのニットが目立たなくなってしまいます。
インテリアの場合は部屋の中にさまざまな物や色があります。
住宅の壁や床を始め、ドア・キッチン・洗面・浴室・エアコンといった備え付けのものから、生活家電から家族それぞれの趣味のものまで家の中にはさまざまな素材と色で溢れています。人の性格と同じようにインテリアはファッションよりもはるかに複雑なものなのです。
インテリア上級者のお宅には沢山のものが置いてあることが多いようです。海外セレブのインテリアを見るとモノも色数もとても多いのですが、それぞれの部屋毎に拘りやテーマがあったりして、見ている方も楽しく、そこから垣間見れる住まい手の内面はとても興味深いものがあります。
そのような人達の部屋の中は、沢山の物や色や素材で溢れかえっていても、自分の好きなものばかりなので意外と自然と纏まっているものです。他人の目線を気にしたり、ブランドや国籍縛りなど変な拘りで選んでみたりせずに、インテリアもファッションも自由に感性の赴くままに選ぶことが重要です。最も大切なのは自分が心地よく感じるかどうかです。
ファッションブランドのロゴが前面に押し出されたような服は、それを身に付けている人以上にブランドが主張してしまい、ファッションセンスが良いというよりも単にブランド好きをアピールしているだけに見えてしまいます。
インテリアにおいてもすぐにそれと分かるような有名ブランド家具は、そのもの自体の主張が強すぎて他のものとの相性やバランスが難しくなります。かといって全部を同じブランドで揃えるのは簡単ですが、それでは自分らしさに欠け、まるでショップのディスプレイのようでは面白くありません。
全部に白一色にするようなモノトーンのスタイリングも一見すると纏まり易いのですが、ファッション同様に案外味気のないものです。
ファッションもインテリアも自分らしく生きるためのもの。他人に見せつけたり、羨ましがられるためではありません。お気に入りのファッションを身に纏ったり、拘りのインテリアで暮らすことは単なる贅沢ではなく、より自分らしく豊かな人生を送ることに大切なモノなのではないでしょうか。
『居心地のよい灯りと暮らす』
灯りは暮らしに美しい情景を生み出し、何気ない日常を特別なものにしてくれるもの。私たちは照明とインテリアデザインで豊かな灯りのある暮らしをご提案します。
IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors
熊本県熊本市北区武蔵ヶ丘1-15-16
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