• Yuichiro Noguchi

建築とインテリアとファッション

日本で家を作るのは元来は大工仕事であって、住宅を手掛ける建築家は下等なものだといわれていた時代があります。今では多くの建築家の方が工務店と協働で家づくりに携わるようになってきました。


建築家や設計士が建築デザインを考えるのですが、インテリアについては床や壁の仕上げなどインテリアコーディネーターと打ち合わせをして決めることが多いのですが、ほとんどの場合はショールームやカタログからクライアントが好みのものを選んで決めていくといった感じです。


建築家や設計士、工務店は家をつくる立場から予算は自然と建物本体へ偏ります。レジデンスといわれるような余程の高級住宅ではない限り、インテリアにまで予算も関心もまわらないのはこのような仕組みによる弊害かもしれません。


世の中にはインテリアデザイナーという職種があるのですが、新築至上主義の日本においてインテリアデザイナーが住宅に関わることは残念ながら余りありません。


インテリアデザイナーが必要とされる案件といえば店舗やホテルといった商業施設が中心になるのですが、予算が余り無いような小さなお店ではそもそもインテリア自体は何も手を加えられないケースの方がほとんどです。小規模な店舗のインテリアで何故か躯体現しが多く見られるのも、実はそのような背景が影響しています。住宅においてはもっとも顕著にその傾向が現れ、近年のマンションリノベーションの多くに躯体現しが採用されていることはまさにその最たる例ともいえるでしょう。


しかし、海外に目を向けると少し事情が変わります。欧米の住宅は中古リノベーションが一般的なのでインテリアへの関心が自然と高まります。DIYも盛んでホームセンターには様々な建材が一般向けに販売されていますし、種類も相当に豊富です。それこそ洋服を選ぶように好みのインテリアを作り上げていきます。


日本ではモデルルームやホテルのように生活感のないインテリアが好まれるのに対して、海外の住宅はまさにその人のパーソナリティを表現してような千差万別。モノ多くてもその人らしさが感じられるインテリアの方が他人から見ても魅力的なはずです。


欧米人はアイデンティティーに重きを置きますが、日本人はパーソナリティを大事にします。日本と欧米とではファッションに対する意識が違うように、インテリアについても大きく異なります。

ファッションとインテリアには共通する部分が多く、単に機能性だけでなく自分らしさを追求するものという点でも一致します。


女性や中性的な人の方がファッションに敏感といわれますが、インテリアに関心が高い方もやはり同様です。建築家の場合は男性が多いのですが、インテリアデザイナーとなると女性の割合が多いように感じます。インテリアデザイナーとファッションデザイナーには同じような傾向が見られ、建築家よりもインテリアデザイナーの方がファッショナブルな人が多いといった印象もあります。


男性よりも女性の方がファッションやインテリアといったより身近なものへ関心が強く、女性が着心地や居心地といった感性を重視するのに対して、男性の方は感性よりも権威にこだわる傾向が強いようです。

そのことはフランスの偉大な建築家であるル・コルビュジエと女性建築家の草分け的存在のアイリーン・グレイとの関係性にも現れているように、その権威主義的な価値観がインテリアデザイナーの立場や室内空間の質や豊かさに影響していることはあながち否定は出来ないと思います。


日本のインテリアは欧米と比較して数十年も遅れているといわれていますが、日本のファッションビジネスは90年代を境に大きくマス化していきました。それ以前のファッションマーケットは女性が中心でしたが、90年代のファッションマーケットで男性ファッションブランドの果たした役割は大きく、その中には今や世界規模に活躍するブランドやデザイナーも数多くいます。


私は前述のような躯体現しのインテリアデザインを見て、かつて80年代に流行したヘインズの白いTシャツとリーバイス501といったファッションが流行した時代を思い出します。


80年代はコムデギャルソンを筆頭にしたユニセックスなDCブランドブームが起こり、それまでファッションは女性の嗜み的な価値観が変わり始め、その後に流行した前述のアメカジブームはそれまでのファッションブランドとは真逆の余計な装飾を剥ぎ落とした極めてシンプルなスタイルは、当時の男性のみならず女性のファッションにまで影響を与えました。90年代には世界の様々な文化やサブカルチャーに影響を受けながら成長した日本のファッションは、今やルイ・ヴィトンまでも日本人ファッションデザイナーとコラボレートするほどです。


海外と比較して数十年も遅れているといわれ久しい日本のインテリアですが、私を含めた当時の若者たちが歳を経て、その興味の対象がファッションからインテリアへ移行する中で、これからそのマーケットが大きく変わっていくのはもはや必然ともいえるのではないでしょうか。


 

『居心地のよい灯りと暮らす』


灯りは暮らしに美しい情景を生み出し、何気ない日常を特別なものにしてくれるもの。私たちは照明から考えるインテリアデザインで豊かな灯りのある住まいをご提案します。


IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors

熊本県熊本市北区武蔵ヶ丘1-15-16


www.inthelightinteriors.com



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