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昼白色から電球色へ

前回のコラム(https://www.inthelightinteriors.com/post/episode_56)で照明の歴史について書いていますが、経済成長とともに照明もより明るく、色温度もどんどん高くなっていきました。


1960年代から始まった経済成長とともに普及していった蛍光灯ですが、右肩上がりの経済成長が止まったのと時を合わせるようにより効率的なLEDへ移り変わりつつある中で、照明の明るさや色温度も少しずつですが下がり始めています。


近年、日本の住宅では蛍光灯やLEDを使ったシーリングライトが放つ青白い昼白色の光から、白熱電球が持つ色温度が低い電球色や温白色へ主流が変わりつつあります。


これまでは「明るければ明るいほどによし」とされ、昼間と変わらない明るさを求める人々の声が、明るさよりも雰囲気や心地よさを求める声に少しづつ変化しているのです。


これまで照明も経済も右肩上がりが常識で、誰もそのことに疑問を感じたことはなかったはずです。

しかし、何事にも限度はあるものでそれが延々と続くことはありえません。


照明の明るさについても同様で、1940年代に生まれた蛍光灯の光は充分に明るく効率的です。現在ではそれ以上に効率的なLEDが登場しましたが、確かに蛍光灯よりも消費電力は少ないものの、そのことが私たちの生活をこれまで以上に素晴らしいものにしてくれたわけではありません。


このことは照明という機能がある程度まで成熟し、必要以上の機能やコストよりも、人が本来必要としている普遍的な印象や情景といった価値観へとニーズが変化しているのだともいえます。


時代と共に限りなく進化する機能性に対して、人が感じる美しさや印象といった装飾性は一定です。本当に美しいものは時代を超えても残り続けるものです。


しかし、装飾もまた過去の歴史で幾度となく流行と風化を繰り返しています。


そのことは何事も行き過ぎた価値観や文化がしだいに当初の純粋な目的を見失い、徐々に劣化していくのだということはこれまでの歴史が証明しています。


少なくともこれまでの「明るければ明るいほどによし」とする照明に対する価値観や文化から、「夜には夜に相応しい灯り」の環境があるのではないかということに人々が気づき始めたことがいえるのだと思います。


私たちはこれから本当の意味で”丁度いい塩梅”の灯りを求めて、照明文化の新たなスタートを切り始めたばかりです。


 

『居心地のよい灯りと暮らす』


美しい灯りのある暮らしは日常生活に癒しと心の豊かさをもたらしてくれるもの。

私たちは照明から考える空間デザインで上質な心地よさをお届けします。


IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors

熊本県熊本市北区武蔵ヶ丘1-15-16








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