• Yuichiro Noguchi

脱・白い壁のススメ

多くの家庭で当たり前のようになっている白い壁と天井。

はたして、それが本当に正解なのでしょうか?


多くの家庭や会社・お店では白い壁に白い天井が一般的。

そして天井には眩いほどの照明器具。


そんな環境で生活している私たちにとって、多くの場所が白い壁が前提に構成されています。

白い壁はレフ板効果と同様に、光を反射・拡散させます。それにより空間は眩いほどに、より明るくなるのです。


リノベーション前の弊社の事務所は天井も壁もすべて白一色。

天井には蛍光灯とダウンライト、夜でも昼間と変わらないくらいの明るさです。


そのような中で、最初に買ったのはルイスポールセンのPH5。


窓際沿いのライティングレールに吊り下げていましたが、天井からの明かりでPH5の灯りはどこえやら、照明器具のフォルムの良さははっきりとするものの、肝心のPH5特有の灯りは蛍光灯とダウンライトにかき消されるのでした。


その後もエニグマ、PHスノーボールと徐々に照明が増えていくと、蛍光灯は付けずに元々あったダウンライトとペンダントライトだけに。

初めは空間が華やかな電球色に染まり、良い雰囲気になったと思っていたのですが、外から見ると白がオレンジに変わっただけで室内は煌々とした明るさのままです。


ある時、天井を高くした方がペンダントライトが映えると思い、天井を剥がしてスケルトンにしたのですが、夜になると天井部分だけがまっ暗になり、照明の灯りがなんとも美しく見えるのです。

その時に初めて白い壁ではない方が、本来の灯りの美しさを引き立ててくれることに気が付きました。


ある日、建築中の新築住宅にいった時のことです。

室内の壁は全てライトグレーの壁紙、白い壁を見慣れていることもあって、上品で落ち着いた雰囲気を醸し出していました。しかし、雨の日に行って見ると全く違った表情を見せます。太陽の光が当たらないライトグレーの壁紙は、ダークグレーかと見間違えるほどに暗く見えるのです。


これまで白い壁にシーリングライトの光が反射する眩しいくらい明るい家庭で過ごしていた人にとっては、全く違った室内の灯りに戸惑うことも少なくありません。

しかし、見方をかえると照明から放たれる光がはっきりすることで、落ち着いた空間の雰囲気とともに、一つ一つの灯りがなんともいえない情緒を感じさせてくれるのです。


欧米の高級レストランでは、店内が暗ければ暗いほど高級であるとされている風潮もあり、

「薄暗くほのかに表情がわかる程度の明るさが、人の表情が一番美しく見える」とも言われています。

日本でも豪邸といわれるような邸宅や高級ホテルやレストランでは、壁は白に限らず、さまざまな色や質感のものが採用されていたり、照明も適光適所に配置され、光源が直接見えないように工夫がされていたりして、空間の雰囲気をとても大事にしてつくられています。


近年、子どもの感性が育ちにくい要因として、”快適で便利過ぎる生活”にあるのではないかともいわれています。私たちは普段から効率や合理的であることに注視し過ぎていて、感性や情緒といった人間性の源について無頓着になり過ぎているところがあります。


欧米と比較して、感性や感受性に乏しいといわれることが多い日本人の私たちですが、実はこのような生活環境が大きく影響しているともいえなくないような気がします。


感性が高い人は芸術や芸能・音楽の仕事についている人が多いイメージがありますが、そういう人たちだけに感性が備わっているわけではなく、多かれ少なかれ誰にでもあるものです。

感性が豊かになると、人の気持ちや心の変化を感じ取りやすく、何気ない会話でも喜んだり楽しんだり、「空がキレイ」とか、「たまたま入ったお店が美味しかった」とか、そんな些細なことにも感動したり、自然と笑顔も多くなります。


よく、欧米人には笑顔の人が多く、日本人には無表情な人が多いといわれ、それは文化の違いによるものだと思われがちですが、実は生活環境から受ける感性の違いではないでしょうか。


日本は世界でも便利さや物質的な豊かさはトップクラスにあると思いますが、それで幸せな生活を過ごせているかというとどうでしょう。

昔と比べると確かに豊かな生活をしていますが、モノが少なかった時代の方が”好奇心”や”期待感”を感じる機会が多かったような気がします。


人が幸せであるためには、便利さや物質的な豊かさを求めるのではなく、人としての感性がバランスよく育まれる環境を整えることがもっとも大切なのだと思います。

私たちが当たり前に選んでいる”白い壁”ですが、そういった視点から見たら「本当にそれが正解なのか」と感じる方も少なくはないのではないでしょうか。




(あとがき)


昨晩から放送がスタートした新ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ・フジテレビ系)。


松田龍平が演じる「田中八作」の自宅は、ミッドセンチュリーを彷彿とさせる突板と濃いブルーの壁紙に囲まれた部屋。照明はルイスポールセンのPH80フロアランプを始め、ベッドサイドのテーブルランプなど、天井から照らされる煌々とした灯りではない空間。テレビドラマとしては異例でしたが、まさにこれからの時代に相応しい”心地よい灯りのある暮らし”を再現しているなと思いました。


何気にこのようなところから少しづつ、”新しいスタンダード”が定着していくのだろうと実感したしだいです。



 

インザライト・ショールームでは洗練された上質な灯りのある暮らしのご提案を通して、お客様1人1人にあったライフスタイルのデザインをお手伝いをいたします。

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