• Yuichiro Noguchi

照明で最も大切なのは壁を照らすこと(その1)

一般的な住宅の照明プラン図は平面図上に書かれています。天井にシーリングライトやダウンライトを配置する程度でしたらそれで事足りるのですが、その弊害として光は天井から降り注ぐものという偏った認識とプランニングが普及していったとも言えます。


これまで一般に普及しているシーリングライトの場合は、6畳の広さで3200lm(ルーメン)が適切とされています。100Wの電球が1520lmですので、その2個分程度の明るさです。ちなみにルイスポールセン社のPH5は100W相当の明るさなので、6畳の部屋にそれだけだと相当に暗くなるのは分かると思います。但し、実際には照明器具の形状などにより、光の広がり方などが違いますので、一概にそれだけで明るい暗いの判断は出来ません。


明るいか暗いかは人によって感じ方に違いがありますし、その感覚は育ってきた環境にとても影響を受けます。日本人の場合は夜でも昼間のように明るい部屋で暮らすことに慣れていますが、欧米人や欧米で暮らしている日本人は日本の家は明る過ぎて居心地が悪いといいます。そのように明るさの感覚は慣れ親しんだ環境に大きく影響されることがいえるのです。


日本の住宅では天井を見上げると眩しいくらい照明があっても、部屋全体の印象はそれほど明くないことも少なくありません。何故なら人が部屋に入って最初に目にするのは正面の壁です。その壁が明るいかどうかで部屋の印象は決まります。つまり、照明の光が目の前の壁にしっかり当たっているかどうかが最も大切なのです。そのように考えると天井から降り注がれる光が、必ずしも適切とは言えないことが分かると思います。


天井から降り注ぐ光は天井面周辺が最も明るく、下へ降りていくほどに暗くなります。ルーメンという数値は照明器具から発する光量であって、人が明るさを認識するのは光が当たっている場所の照度「ルクス(lx)」です。実際に光があたっている場所が何ルクスあるかによって印象が大きく変わります。どんなに明るい照明器具をつけても照らしたい場所から離れていれば、明るく感じないのです。反対に照らしたい場所の近くにあれば、必要以上に明るくなくても良いし、明る過ぎるとかえって眩しく感じたりして不快になるのです。


広い部屋になればなるほど部屋の中心にある照明では壁に光が届きにくくなるので、住宅では玄関や廊下のような狭い場所では壁に光が届きやすく、リビングやLDKのような広い場所では届きにくく、そのアンバランスによって家が暗く感じることはよくあります。だからといって無闇に明るくするのではなく、玄関や廊下といった滞在時間の短い場所はあえて暗めにすることで、リビング・ダイニングや居室に入った時に明るく感じるように演出するのも効果的です。人は暗いところから明るいところへ移動することで明るさを感じやすくなります。


また、ブラケットライトやコーニス照明、フロアランプ、テーブルランプといった照明器具を使い、壁面をしっかりと照らしてあげることが重要で、それにより見た目の明るさに加えて、華やかさも拡大に増します。特に壁一面を幅広く照らすコーニス照明はベース照明としては最も有効で、空間に余計なノイズを作らずに見た目の明るさを容易に確保出来るメリットがあります。インテリア照明としてはブラケットライトもオススメです。壁面に浮かび上がる灯りは、照明器具のデザインとの相乗効果も抜群です。


フロアランプやテーブルランプも部屋の中央辺りに置くよりも壁に近い場所やコーナー部分に置くことで、壁面を照らすことが出来ます。ブラケットライトよりも目線に近い高さになるので、もっと光を認識しやすくなります。しかし、これらのランプの最大のメリットは設置場所を変えられることでしょう。他の照明と違い、自由に動かせる照明は部屋のインテリアに合わせて移動することが出来るので、まさに適光適所に最も適した照明といえるでしょう。


照明計画ではコストや効率だけでなく、全体のバランスを考えてプランニングすることが大切です。家を建てる時に照明は最後になりがちですが、早い段階から照明計画も検討すれば、質の高いライティングをつくることも可能です。生活シーンに合わせて適光適所で照明を選び、必要な場所にしっかりと光をあててあげれば、美しい灯りに包まれた温かみのある素敵なマイホームになるはずです。


次回、“照明で最も大切なのは壁です(その2)”では、壁の色と照明の関係についてお話ししますので、こちらもぜひご覧下さい。



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