”家は住み手の人生や人柄を語るもの”
「その人の周りにあるものが、その人をつくる」オランダ人のプロダクト&インテリアデザイナー、マルセル・ワンダースの言葉にもあるように、住まいは衣服以上に人に影響を与えるものです。
和たちの周りには便利や機能的なもので溢れ、いつの間にか常に新しいものに囲まれている暮らしをしています。70年前にはなかった自動車やテレビや冷蔵庫、20年前にはなかったスマートフォンも、今では無くてはならないモノのように当たり前になっています。
かつてはリビングにある1台のテレビを囲って一家が団欒するといった「ちびまる子ちゃん」に代表される昭和のライフスタイル。今では各々がスマホを持ってそれぞれ好きなものを見ているのではないでしょうか。
スマートフォンの普及によって私たちの環境は大きく変わろうとしています。街に食事や買い物へ出かける必要もなく、仕事ですら在宅や好きな場所でもできる時代。
そのような暮らしは便利ではあるけれど、本当に私たちの暮らしの質を高め、人生を豊かにしてくれているのでしょうか。
生きていくのに必要なモノは既に私たちは手にしているはず。
本当に必要なもの、大切なものが何なのかに気づくのはいつでしょう。
スマートフォンというかつてないほどの便利なものを手に入れた私たちが、それと引き換えに失ってしまうものは一体何なのか。
かつてマトリックスという仮想現実の中で生きていく人間を描いた映画がありました。
それから20年が経ちますが、まさか本当にそのようなことが現実に起きるとは想像もしていませんでした。
果たしてマトリックスのような世界で、私たちは本当の幸せを手に入れることができたのでしょうか。
”建物が人をつくる”
「建物が人をつくる」という言葉があります。「よい環境の中にいれば、よい人間に成長していく」といった意味ですが、実はこの言葉には前文があり、「まず人が建物をつくり、その建物に暮らすことで人格が形成される」というものです。
家も古くは雨・風が凌げればよかった程度から、しだいに窓や庇で暑さ・寒さを緩和したり、現在では電気を使って様々な環境をコントロールするなど、ますます進化しています。
環境問題や環境によい住まいというと、とかく省エネという視点でのみ語られがちですが、それよりも大事なのは、体の中の環境です。
現代社会に暮らす私たちは、高度に発展した都市生活の中でさまざまなストレスにさらされ、生活習慣病や精神疾患、アレルギーの増加などの健康問題に直面しています。
例えば、低体温傾向の子どもが増えていたり、うつ病や躁うつ病患者数の増加など...
こうした健康上の問題の背景には、夜型の生活や睡眠不足、運動不足、不規則な食事、ストレスといった生活習慣の乱れと、一年、一日を通してほぼ均質に制御された明るさ・温度の室内など、便利な生活と刺激が少ない住環境の2つの要因が考えられます。
生活習慣が乱れると、人の健康を司る生体リズムが乱れやすくなります。中でも重要なのは24時間の生体リズム『サーカディアンリズム』と呼ばれるもの。
サーカディアンリズムが正常であれば、人は自然と夜暗くなると眠くなり、朝になると目覚めます。
また、心身の健康を司るホルモンの分泌も、サーカディアンリズムでコントロールされています。これらが正常に行なわれないと、心身の健康にさまざまな問題を引き起こすことが分かっています。
いつの時代も最新のものは便利で快適ですが、それを所有することにどの程度の意味があるのでしょう。それがないと幸せとはいえないのでしょうか。
年々、便利で快適な世の中になっているはずなのに、次々に新たな問題が生まれ、多くのものを手にしているのにもかかわらず、日々の幸せを感じにくくなっているのか。
過度な便利さや快適さはかえって人の感性を鈍感にさせ、ちょっとした変化や刺激にも過剰に反応するようになります。
SNSを使って世界中の人々とコミュニケーションをとることはとても刺激的ですが、身近な人との人間関係の方がはるかに大事なはず。
私たちが本当に必要としているのは、快適で便利で贅沢な生活ではなく、季節の変化やあたりまえの刺激を得ることができる、人間本来の健やかな暮らしなのではないかと思います。
例えば、大切な家族やペット、大事にしているアクセサリー、年に一度しか使わないクリスマスツリー、それらのように便利や必須ではないけれども、人生をより豊かに過ごすために必要なものがあります。
真っ赤な太陽が水平線に沈みゆくサンセットの時間。
ゆるやかに空の色を変えながら、ゆっくりと素敵な夜に向かうマジックアワーには、美しい景色と心地よく吹く風。
そのような瞬間が私たちにかけがいのない大切なものの価値を教えてくれます。
住まいのこととなると最新設備や性能など、急に便利や快適といった部分に意識がいきがちですが、どんなに素敵な外見でも中身がともなっていなければ、少しも魅力的ではありません。
家もデザインや機能ばかりにとらわれず、心地よく過ごす大切な場所だと考えれば、本当の『よい住まい』とはどうあるべきか、その答えがきっと見つかるのではないでしょうか。
インザライトでは、『灯りを愉しむ』をテーマに、美しく、心地よい灯りのあるインテリアデザインを通して、洗練された上質なライフスタイルをご提案します。
熊本・福岡を中心に、住宅のリフォーム・リノベーションから照明やオリジナル家具まで、住まいのインテリアデザイン全般を承っております。まずはお気軽にご相談下さい。
《IN THE LIGHT Lighting Design & Interiors》
熊本市北区武蔵ヶ丘1-15-16
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