• Yuichiro Noguchi

フラット化する社会

更新日:11月20日

 今やどこにいてもスマホ一つあれば、様々なエンタメやショッピングを楽しめるようになりました。ふとした時に周りを見ると電車の中はもちろん、カフェやレストランは当たり前、クルマや自転車の運転中さえスマホを手にした人ばかり。マトリックスのように完全なバーチャルな世界で生きているほどではありませんが、日常の半分はすでにそのような環境にあるのかも知れません。


 20年前はまだスマホはありませんでしたし、インターネットもパソコンを使って少しずつ一般にも広がり始めた頃。当時は海外に行かなくても現地のものを直接手に入れられることに感動すら覚えたものですが、今では誰でもはスマホ一つで世界中のものが何でも簡単に手に入る時代。以前よりも海外のモノに対する価値を感じなくなっている気がします。


 世界中のあらゆるものがインターネット上にあるのは便利ですが、簡単に手に入れたり真似をしたりすることも可能です。一部の人しか知らないようなものでも、あっという間に広がります。それゆえに安易な模倣やコピーが以前よりも遥かに早いスピードで氾濫し、流行のサイクルも極端に短い。ファスト・ファッションはまさにその最たる例ともいえるでしょう。


 それでも次から次へと生まれる模倣やコピーを生み出す文化は、資本主義とマスマーケティングによって、これからも続いていくのでしょう。人も企業も国もお金を稼ぐことで常に頭がいっぱいで、まるで人はお金がないと死んでしまうかのようです。少し前に「お金さえあれば何でも出来る」と宇宙で叫んだ人がいますが、その人はお金で何を得て、何を失ったのでしょうか。


 お金の使い道はさまざまですが、使い方次第で社会の役に立つことも何かを失うことにもなります。コーヒーを飲みたい時に一杯200円のセブンイレブンと1,000円のサードウェーブコーヒーのどちらを選ぶかは、単に価格や味だけの問題ではありません。


 2013年にインドのダッカ近郊で起こった”ラナ・プラザ崩落事故では、死者1,127人、行方不明者約500人、負傷者2,500人以上を出し、そこにはMangoやMatalan、Benettonなど27のファッションブランドの縫製工場が入っており、この事故で犠牲になったの人の多くは、その工場で働いていた若い女性たちでした。それによりグローバル展開しているファッションブランドらが、こぞって労働者を低賃金かつ劣悪な環境で働かせていた事実が発覚しました。


 同じようにグローバル展開をしているパタゴニアの服はきちんとしたフェアトレードの元で製造・販売をされています。また、アウターノウンやロンハーマンといったブランドも同様で、それらの服を購入することはその企業の姿勢や原材料の生産者を含めた生産現場や労働者を支えることも繋がります。


 50年前には当たり前にあった町の電気屋さんや近所の八百屋さんに魚屋さんも、今ではほとんど見かけることはありません。町の電気屋さんは家電量販店が出来てなくなり、八百屋さんも魚屋さんもスーパーが出来るとなくなっていきました。お店がなくなるということはそこで働く人もいなくなるということ。


 確かに家電量販店のようにたくさんの品揃えと価格の安さは魅力の一つでしょう。「同じものなら安い方がいいに決まってる」。でも、それにより近所にあった電気屋さんはなくなり、ちょっとしたことでも郊外まで行かなければいけなくなったし、そこには近所の電気屋さんのような親切な人はいないのです。


 今では家電量販店も大手テレビ通販会社やEコマース企業にとって変わられ、地元のスーパーもイオンのような大型ショッピングモールやコストコみたいな巨大スーパーマーケットがどんどん進出してきています。タピオカや流行れば、どこもタピオカ屋だらけで、カフェ、韓流、ブランドショップ...今や地方でも流行のものには事欠きませんが、反面ではそこの都市にしかないものを探す方が困難です。


 最近では町のあちらこちらで地元発のサードウェーブ系コーヒーショップを見かけます。「南米の豊かな土地で栽培された豆を、立派な焙煎器と高価な道具を使って、ハンドドリップで淹れる」このようなスタイルは確かに美味しいコーヒーは出来るかも知れませんが、どこのお店も似たような店構えに同じ味、ついでにいえばお店の人までもが似ているような気がします。スターバックスやブルーボトルが世界中で同じ味なのは仕方ありませんが、町のコーヒーショップまでもがそれで良いのでしょうか。


 かつて、70〜80年代頃は洋服のインポートショップ自体が珍しく、イギリス、フランス、アメリカなど買付する国やスタイルの違いがそれぞれのお店の個性となっていました。情報が少ない時代だったからこそ、自分達のスタイルを自然と育みことが出来たのでしょう。多様なスタイルのお店や常連さんたちがその街の個性や文化の一端を担っていたように思います。


 今では、どこの都市に行っても同じモノやサービスがあり、街並みまでもが同じです。もはや、わざわざ他の都市へ出かけたり、旅行する楽しみはもはやほとんど残っていないように感じます。その時の流行のもので溢れかえった金太郎飴のような風景を見ると、50年以上も前からあるような建物がとても貴重に感じられるのです。私たちは安さや便利さと引き換えに、何か大切なことを置き去りにしてきたように思います。






 

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